なぜ「① 気づき配信型」はこの形になったか
要件定義からの設計判断を、順を追ってまとめる。
0. 前提とした要件定義
ゴール:無自覚な出費パターンを労力なく発見し、「納得/減らせる」を自分で判断して、使い方が納得のいくものに整う。エンジンは抑制でなく自己発見と納得。 前提はクレカ連携で支出が自動記録される。
達成すべき条件(ユーザーができること):② 店・回数・時間帯でクセを見る/③ 一目で「いつもと違う」/ ④ 探さず気づきに出会う/⑤ 過去の自分と比べる/⑥ 自分で満足・減らせるを仕分ける/ ⑦ 良い支出を肯定する/⑧ 変化を追う。
1. なぜ「気づき配信」を主役に選んだか(発散→優先度)
条件を満たす機能案を広く出した中で、ゴールの核=「労力ゼロの気づき」に最も直結するのは 条件③(一目で分かる)と④(探さず出会う)だった。この2つをアプリの主役の価値に据える賭けが 「気づき配信型」。ユーザーが自分で掘らなくても、無自覚が向こうから届く——ゴールの “労力なく発見”を最短で突くパターンとして最優先に選んだ。
2. なぜこの器(ホーム構成)になったか
クレカ連携が前提なので、手入力の器は要らない。代わりに「自動で拾った気づき」を置く場所が要る。 条件④(探さず出会う)を満たすため、ホーム最上部に常設の「今週の気づき」カードを置き、 過去の気づきが積み上がるフィードを下に並べた。
ただし家計簿であることは捨てない——お金の全体像(今週の支出)と明細タブを常設し、 いつでも戻れるホームにした。条件②③⑤(クセ・時間帯・過去比較)は、気づきを タップした先の詳細(時間帯ヒートマップ・内訳・比較)に格納。 ホームから任意で掘れるが、強制はしない(ウィザードにしない)。
3. なぜこの見せ方か(リサーチ反映)
Cleo の「気づきフィード」、Apple Card / Copilot の“informative but not intrusive”(役立つが邪魔しない)通知設計を参考に、 通知的だが押し付けない常設カード+フィードにした。設計ドキュメントの 「決済直後には出さない(うざくならない)」に従い、気づきはホームと週次で受動的に配信する。
4. 何を主役にし、何を従にしたか(意図とのズレの所在)
① は条件③④(気づき)を主役、②⑤(クセ・比較)を従(詳細に格納)に置いた形。 逆に、条件⑥⑦⑧(自分で仕分け/良い支出の肯定/変化を追う)は意図的に薄い。 これは “自分で判断する” 体験を主役にする ③ 納得の仕分け型、“掘って発見する” を主役にする ② クセ発見型 に役割を分けたため。もし①に「発見してから自分で仕分けて納得する」まで 期待していたなら、そこが意図とのズレ——①は「気づきが届くところまで」に賭けを絞っている。